・「赤朽葉(あかくちば)家の伝説」桜庭一樹
なんとも不思議な小説だ。「山の民」に置き去られた赤ん坊。千里眼を持つ万葉をして育つ。ここらまでは非現実的な話が進むのかと思ったが、やがて物語は、鳥取県からみた日本の戦後史の様相を帯びてくる。次々と戦後のなつかしい事件を背景に話はテンポよく進んでいく。
話したいことが一杯あるのに時間が足りない。慌しく早口で次々と色々なことをしゃべっている人の話を聞いているようだった。落ちつかないし、話が表面的であっという間に終わってしまう。
が、反面小気味よく、飽きることなく読めてしまう。
跡取り息子の生き方、婿養子の行き方、管理売春の話、不良少年・少女の実態、地方に設置されるコールセンターの問題、時代の変化に取り残される職人の問題。欲張り過ぎた話だった。最後は急に推理小説になるところの変でこの作品らしい。
桜庭一樹。初読み。この作品は「第60回日本推理作家協会賞」受賞。2007年上期第137回直木賞候補作品となった。桜庭としては、2007年下期第138回直木賞を「私の男」で受賞している。
<あらすじ>東京創元社HPより
「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。著者の新たなる代表作、桜庭一樹はここまで凄かった!
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