日本のフォークソングは、1960年代に流行ったアメリカンフォークのコピーから生まれたとも言われているが、私がフォークに接したのは1970年代に入ってからで、模倣から脱してオリジナルが地に着き始めた頃だ。
よって、日本に大きな影響を与えた、ボブ・ディラン、ピーター・ポール&マリー、ブラザーズフォーの活躍も、「花はどこへ行った」もヒットもリアルタイムで体験していない。でも、追体験で接しても、少し上の世代の日本の若者に強いインパクトを与えた曲は、私の心に入り込んでいる。
以下の記事は、今回調べたものである。「花はどこへ行った」への多くの人の想いが積み重なった歌であること改めて認識した。
1.オリジナルはコサックの子守歌
「花はどこへ行った」は1955年(昭和30年)、アメリカフォークの父と呼ばれるピート・シーガーが作詞・作曲して誕生した。ロシアのノーベル賞作家ショーロホフの「静かなドン」の中に出る<コサックの子守歌>の歌詞からヒントを得て短時間で完成させたという。
「静かなドン」は、第一次世界大戦、ロシア革命に翻弄されたドン地方のコサック(平時は農業に勤しみ、有事には武装して戦うことを条件に特権的は土地使用を認められていた半農武装集団)を描いた小説。その冒頭に
・それじゃあがちょうはどこへ行た?
あしのしげみに逃げて行た
・それじゃあしはどこへ行た?
むすめが刈ってゆきました
・それじゃ娘はどこへ行た?
娘は嫁にゆきました
・それじゃコサックはどこへ行た
戦さにでかけてゆきました
河出書房 世界文学全集24
シューロホフ「静かなドンⅠ」横田瑞穂訳
という子守唄が挿入されている。今もドン地方では歌われているとか。
2.誕生
ピート・シーガーは<コザックの子守歌>の2・3・4節を借用している。
1番:花(葦)はどこへ行った⇒娘が摘んで行った
2番:娘はどこへ行った ⇒若物に嫁いで行った
3番:若者はどこへ行った ⇒戦さに行った
そして曲をつけた。
この歌に4番、5番の歌詞を付け加えたのが、民族音楽研究家のジョー・ヒッカーソン。
4番:戦場へ行った若者はどこへ行った ⇒死んで墓になった
5番:その墓はどうなった ⇒花に覆われ少女に摘まれた。
花→少女→青年→兵隊→墓地→花の素朴な構成ながらおろかなことを繰り返す人間の悲しさを静かに訴える名曲が完成する。
3.平和の歌としてヒット
こうして完成した「花はどこへ行った」であるがヒットするまで少し時間がかった。
1962年(昭和37年)。キングストン・トリオによってカバーされ大ヒット。
1963年(昭和38年)。ピーター・ポール&マリーのカバーも大ヒット。
3.究極の反戦歌に
1968年(昭和43年)。ベトナム戦争の前線基地であったケサン基地の塹壕で「花はどこへ行った」を歌う海兵隊の姿が報道されたことはアメリカ市民に大きな衝撃を与えたといわれる。もはや戦う意味を失ったアメリカ兵の歌う「花はどこへ行った」によって、平和願う歌からベトナム戦争への反戦歌として意識されるようになった。
ブラザーズフォーやジョーン・バエズのカバーもヒットする。
4.海外でのヒット
ベルリン生まれのドイツ人で、ナチス政権に反発してアメリカへ渡り、市民権を獲得したハリウッド女優マリーネ・ディートリッヒは第二次世界大戦への反戦歌「リリーン・マレーン」のヒット曲を持つが。彼女がドイツ語で歌った「花はどこへ行った」も空前のヒットとなる。母国を失った彼女の悲しみの心情が反映していると言われている。
5.スポーツの世界へ
東ドイツのフィギアスケートの代表として、1984年のサラエボ、1988年のカルガリ五輪で金メダルを獲得したカタリーナ・ビットは、思い出のサラエボがユーゴ紛争の戦火に巻き込まれているのを悲しみ、1994年リレハンメル五輪へ2大会ぶりに出場。「花はどこへ行った」にのって演技した。順位こそ7位だったが、多くの人々の心を打った滑りだった。
6.日本では
1966年。おおたたかし訳詞でザ・リガニーズによるものがヒットした。
おおたたかしの訳はよくできたこの歌の心情を良く捉えていると思うが、ストレートな直訳ではないので、この歌の誕生経緯を理解してから聞くと味わい深い。
7.大きな流れ
コサックの子守歌が多くの人の手を経て、平和を願う歌に変貌をとげ、多くの人の平和への様々な思いをのせて歌い継がれていく。大きな大きな流れにのった大きな深い歌になった。
♪
野に咲く花はどこへゆく
野に咲く花はきよらか
野に咲く花は少女の胸に
そっとやさしくいだかれる
かわいい少女はどこへゆく
かわいい少女はほほえむ
かわいい少女は若者の胸に
恋の心あずけるのさ
その若者はどこへゆく
その若者はいさんで
その若者はたたかいにゆく
力強く別れを告げ
戦い終わりどこへゆく
戦い終わりしずかに
戦い終わり土にねむる
やすらかなるねむりにつく
・
戦士のねむるその土に
野バラがそっと咲いていた
野バラはいつか少女の胸に
そっとやさしくいだかれる
・
・
♪
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Where have all the flowers gone? Long time passing. Where have all the flowers gone? Long time ago. Where have all the flowers gone? The young girls have picked them ev'ry one. Oh, when will you ever learn? Oh, when will you ever learn?
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2
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Where have all the young girls gone? Long time passing. Where have all the young girls gone? Long time ago. Where have all the young girls gone? They've taken husbands, every one. Oh, when will you ever learn? Oh, when will you ever learn?
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3
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Where have all the husbands gone? Long time passing. Where have all the husbands gone? Long time ago. Where have all the husbands gone? They're all in uniform. Oh, when will you ever learn? Oh, when will you ever learn?
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4
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Where have all the soldiers gone? Long time passing. Where have all the soldiers gone? Long time ago. Where have all the soldiers gone? They've gone to graveyards, every one. Oh, when will they ever learn? Oh, when will they ever learn?
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5
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Where have all the graveyards gone? Long time passing. Where have all the graveyards gone? Long time ago. Where have all the graveyards gone? They're covered with flowers, every one. Oh, when will they ever learn? Oh, when will they ever learn?
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6
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Where have all the flowers gone? Long time passing. Where have all the flowers gone? Long time ago. Where have all the flowers gone? Young girls picked them, every one. Oh, when will they ever learn? Oh, when will they ever learn?
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