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2008年11月11日 (火)

・「東京島」桐野夏生

無人島に男31人と女1人が流れ着いた。

すごいテーマを考えたものだ。しかもその女性の設定年齢が見事。46歳。若くては駄目だけど、どこまで上げるか。46歳は私より年下であるが、仮に20台の若者だとしても充分性の対象になる年齢だ。さらに出産という観点で考えてみても、46歳は絶妙。50歳を超えた出産は、広く世界を探せばあるかもしれない非現実的な年齢。40台前半だと、平均的な事態ではないが、芸能人でなくても周辺やその周辺を探せばありそうないわば現実的な年齢。その合間をぬった見事な設定だと思う。

「ロビンソン漂流記」、「十五少年漂流記」、「エンデュアランス号漂流」などの話は本当の漂流記であるが、「東京島」は漂流を題材にした人間の日常の駆け引きの物語だ。唯一の女性という武器も、女なしで生きる術をみんな身につけてしまえば、価値を失うところなどは絶妙だ。最後はどうなるのだろうか、は想定を超えて少し残念な結末だったが、この小説の目的はエンディングではないので、問題なしといったところ。

桐野夏生と言えばはやり「OUT」。東京郊外のコンビニ弁当工場で働く深夜パートの主婦たちの日常からの脱出を、強烈な事件を中心に展開し、主婦の抱える悩みを見事に浮かび上がらせた。あまりにインパクトがありすぎたので、直木賞を受賞した「柔らかな頬」は肩の力の抜きすぎのようで物足りなった。他の読者も同じ反応だったのか、出版社の意向だったのか、世の中で起きた鮮烈な事件を題材にした小説を次々発表する。どれもうまく描かれ、事件をモチーフに独自の物語に展開していたものの、事実の解説小説の印象をぬぐえなかった。すべて「OUT」の後遺症である。

が、「魂萌え!」でようやく「OUT」から脱却できたと私は思っている。「東京島」もしかり。今後の作品が楽しみである。

<内容>新潮社HPより

私は必ず脱出してみせる

無人島に漂着した31人の男と1人の女

本能をむき出しにする女。

生にすがりつき男たち。

極限状態での人間の本質を

現代の日本人に突きつける

著者渾身の問題作!

32人が流れ着いた島に、女は清子ひとりだけ。

無人島に助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウと呼ぶようになる。

果たしてここは地獄か、楽園か?いつか脱出できるのか

生と欲に縋る人間の極限状態を容赦なく描き、読む者の手を止めさせない傑作!

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コメント

こんにちは♪
TB&コメントありがとうございました!

たしかに46歳という年齢が絶妙だと思いました。
普通の世界にいればオバサン扱いの年齢ですが、あのような環境にあればまだまだ「現役可能」って感じですよね。

>唯一の女性という武器も、女なしで生きる術をみんな見につけてしまえば、価値を失う
このあたりの描き方が上手くて唸りました。

投稿: ミチ | 2008年11月13日 (木) 22時12分

★ こんばんわ
恐縮です

投稿: やまけん(肩の力を抜いて) | 2008年11月14日 (金) 00時10分

しかし退屈したお話でした。せっかく魂萌えした夏生チャンでしたがまたもとのモクアミ。

投稿: よっちゃん | 2008年11月14日 (金) 23時16分

★ こんばんわ
「魂萌え!」では意見一致。「東京島」では不一致。様々な見方があるのはそれぞれの心のひだが異なるから当然なのでしょうね。

投稿: やまけん(肩の力を抜いて) | 2008年11月16日 (日) 23時01分

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